「真似るは学ぶ」指導者インタビュー NO.7

アナリストは地道な仕事。苦労が報われないことも多い。

でも、提供した情報でメダルの色が変わることがある。

そこがやりがいです。

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公益財団法人 日本卓球協会 NTC専任コーチングディレクター 山田耕司さんに 味の素ナショナルトレーニングセンターの卓球場にてインタビューをしてきました。

山田さんは、卓球のナショナルチーム等が味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)を利用する際の各種手配・調整等のマネジメント業務と、情報スタッフ(アナリスト)のリーダー業務を兼務されています。

 

~アナリストになったきっかけをお聞かせください~

話すと長くなりますが(笑)最初は、大学時代の恩師がスポーツ科学の分野でナショナルチームのサポートをしていて、「関心がある人いないか?」というのに手を挙げお手伝いしたのがきっかけです。大学院に進みましたが、その間もときどきお手伝いをしていました。

修士課程修了後は、国際協力機構(JICA)で、ベトナムへジュニアの卓球指導に行きました。帰国後に、大学時代の恩師と静岡でNPOを立ち上げながら、ナショナルチームのサポートも再開していたのですが、段々その比重が高くなり、東京五輪へ向けての強化で声が掛かり、今はそれを中心に活動しています。

思えば、これまでの人生は、好きなことを選択し続けた結果、今日に至っています。ベトナムに行く時も「帰国してからどうするの? やめておいたら?」とだいぶ言われましたが。今なら、まずはリスクを考えるところですが、当時は若かったものですから(笑)

 

~どうして私の研修(ベーシックⅠ)を受講したのですか?~

正直に言うと、研修時間が短くていいなと思ったからです(笑)あとは内容が面白そうだと思ったからです。印象に残ったのは、P=Po-Iの数式の話と質問のサンプル集ですね。

特に、弊害を減らすことが一番簡単で早いという発想は、これまで無かったなあと。無意識に感じていたかもしれませんが、シンプルな式で見た時ストンと腹落ちした感じがしました。最近も若手とのミーティング中に、「これは弊害だ」というものを見つけました。

~お仕事の中でコミュニケーションが重要な場面は?~

まずは、メンバーと思いを共有する時ですね。特にアナリストとしての分析技術以外の部分での思いです。例えば、JAPANのユニフォーム着用時は国を代表しているという

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意識を常に持つ等の、マインドの共有や醸成を図る時です。

細かいことを「言わなくてもわかっているはず」と曖昧なままにせずに、時間をかけてコミュニケーションをとって、共通のマインドを醸成する必要があると思っています。

また、私たちがデータを提供する時は、意見は控えてどう活用するかはコーチにお任せしているのですが、彼らが本当に欲している「分析の種」を、食事の時等、何気ない会話にアンテナを張って、キャッチアップするように、若いメンバーとともに心がけるようにしています。

今は、技術の進歩で本当に色々なデータが出せるようになったのですが、現場が欲している情報でないと意味がありませんから。

 

~データ提供の難しさ~

アナリストの仕事では、コミュニケーションがとれていても微差が埋まりきらないことがよくあります。実はそこが難しい所なんです。

例えば、「チキータ」という打ち方があるのですが、「いや今のはフリックだ」と言う人がいたり、解釈が異なることがあるんです。こうした用語のみならず、動作や戦術の微差を埋めるのも容易なことではありません。

 

~アナリストとしてのやりがい~

地道で苦労が報われないことも非常に多いのが、アナリストの仕事です。

でも、私たちの提供した情報が、ほんの少しの差となってメダルの色が変わる事があるくらい、日本の国際競争力は上がってきたと思っています。そこがやりがいですね。

 

~最近注力していることは、研究者・技術者とスポーツの現場の橋渡し~

卓球ではAIによるゲーム分析の取組みが始まっています。本格的に取り組んでいる競技はまだあまりないと思います。

そこで、「卓球のことはよく知らない各分野の研究者・技術者」と、「卓球は専門だけれども研究開発については詳しくない現場」の間に入って、その橋渡しに力を入れています。

研究や技術としての評価がいくら高くても、現場ではボタン一つで出来ないと困るとか、もっと簡単な方法で無いと使えないとかいう事がよくあるのです。だた、それに取り組んでも、研究者・技術者の方々の評価には繋がりにくい、あるいは研究者・技術者はそこには関心がないというケースが少なくありません。

そんな中、粘り強く取り組んで下さる方もいて、自ら卓球の大会に足を運んでくれたり、マイシューズマイラケットを揃えたり、いつの間にか卓球のスクールに通っていたり・・・。

まずは彼らに卓球のことを知ってもらう事、好きになってもらう事がすごく重要なことなんです。そのような関係性をもっともっと増やしたいと思って、研究者や技術者の方に卓球に接してもらうために、卓球の大会の観戦に招いたり、卓球体験会を実施したりしています。

 

~指導者とは?~

そのスポーツを通じて人を幸せと豊かな方向へ導く人だと思っています。

 

~今後の夢や目標についてお聞かせ下さい~

東京五輪へ向けて、アナリストとして難しいデータを出すということではなく、選手に「使ってもらえる」情報を提供していくことが目標です。

あとは、まずは自分自身が健康であり続けたいと思います。

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~インタビューを終えて~

山田さんからは、何よりまず現場をサポートするんだという、チームを陰から支えるスタッフとしての、自負と心意気を感じました。これからも益々ご活躍ください。応援しています。

 

インタビュアー 岡 俊宏   カメラ 詫摩 浩一